とりあえず、書きかけだけれども
増補中の書きかけの原稿ですけれども、もう2月ですし公開します(2016年夏交流会資料とほぼ同じ)。
コラムの追加・図の入れ替えは、今抱えているタスクが終わり次第。
https://drive.google.com/open?id=0B98pgC56KO_ZWU0wbjd1Q25fY28
にゃーん
人力飛行機主翼設計についての雑感その1
2.「最適化する」とは
人力飛行機を設計するとき、よく「最適化する」といいます。「最適化」とは、いまデジタル大辞林で検索したところ「特定の目的に最適の計画・システムを設計すること」とされています。「最適の」という形容詞はさておくとして、人力飛行機の設計において「特定の目的」「計画・システム」の二つの名詞は、具体的に何を指すのでしょうか?
人力飛行機を設計するにあたって、考える対象である「計画・システム」は、素朴には「ハードウェアとしての人力飛行機そのもの」や「製作・運用方法」といった、『いわゆる設計らしいこと』を指すと考えると思います。私も最初は、そのように考えていました。しかし、どうももっと広い範囲について考えを巡らせるべきだったと、引退して振り返ると思ってしまいます。
まず、「システム」の中には「すべてのチーム関係者と、その人たちの考え方・雰囲気・歴史」を入れる必要があると思います。例をいくつかあげてみます。
例1. チームのメンバーの「ものつくりに対する考え方」は、製作の効率化への考え方や製作物への思い入れなどに反映され、運用や製作手順、それらの工数に影響を与え、制約を与えます。
例2. サークルのメンバーは「人力飛行機を飛ばす」というよりも「ものつくりをしたい」のかもしれません。であれば、外注するべきかせざるべきかが変わってくるでしょうし、製作期間も長くとりたいと思っているかもしれません。
例3. サークルのメンバーは「飛行機を飛ばすのが大好き」という人の集まりかもしれません。であれば、外注も積極的に採用するかもしれませんし、製作期間はできるだけ短くしたいかもしれません。
例4. サークルに入ってくる人数がだんだん減っている場合、製作の工数と製作物の出来のよさをリバランスする必要があるかもしれません。
例5. クソOBが設計に口出ししてくるかもしれません。
そうした、「感情を持った人間」が機体を製作し、人間と機体製作とが一体不可分であるわけですから、考える対象の範囲に人間を入れておかないと、後でひどいことになるかもしれません。私も、そういったところで考えが至らず、いろんな人に迷惑をかけてしまいました。
次に時間軸について考えると、「現在の設計は将来のチームに対しても責任がある」と考えることができます。例えば、桁を自作しているチームであたらしくマンドレルを購入した場合、少なくとも数年はそのマンドレルの径をもつ桁が作られ続け、それが設計の制約条件になります。また、「ことし立ち上げた」というチームにおいて、「変わった形状の機体を製作」するのか「非常に高い目標に対してリスクをしょって挑む」のか、「チームの成長を第一に考えていく」のかによって、取るべき戦略は変わってきますし、その判断はその後何年にもわたってチームに影響を与え続けます。
以上を踏まえると、機体製作・運用と一体不可分である「現在・過去・未来のチーム全体」を考慮に入れて、それらがどうあるべきかを、設計者は考えなきゃいけないんだな(いけなかったんだな)と思います(反省しています)。そして、そのたどりつくべき姿、ありよう、目標が「特定の目的」に当たるんだろうと思います。
人力飛行機主翼設計についての雑感その0
0.はじめに
昨年(2016年)夏のHPA交流会で「チームあざみ野(仮)」から出した交流会資料内で、「人力飛行機主翼設計についての雑感」という記事を書きました。この記事は、「交流会資料の内容を手直しして、さらに春交流会に向けて増補し、諸々を学生の間に残しておいて、それから就職したいなぁ」、という動機で書かれています。
2017年の鳥人間コンテストからTT機部門(片道500mの往復にかかる時間を競う競技)がなくなってしまいましたが、TT機に関する記述は残しておきます(速度世界記録挑戦などがありますので)。また、私が設計をやっていたのはもう3年も前なので、頑張って正確に思い出して確認もとりますが、若干不正確なところがあるかもしれませんので、ご容赦ください。
1.ねらい
本連載では、銀本などで航空力学の標準的な部分を押さえた後に、「じゃぁ設計ってどうやるの?」ということを扱います。標準的な部分だけをおさえて設計しても、出来はすると思います。しかし、「もっと良くしたい!」と考えるのであれば、それは時間・知識・経験のすべてが限定される学部生でも可能だと思います。
一方で、基礎的な航空力学の知識を欠いたまま機体をとばそうとして、残念ながら惨憺たる結果を招いてしまったチームの事例を耳にしてきました。そうしたことは、チームの一年の努力(とお金)が水の泡となるだけでなく、大変危険なことだと思います。そこで、そういった方には次に掲げるような基礎的な本を一冊、きちんと頭に入れたうえで、次の段階に進むことをお勧めします。
- 作者: 片柳亮二
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2009/08/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 作者: 國竹泰夫,海野義政,浅井敦司,小林崇朗,吉澤匡,飯野明
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2015/05/14
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
また、質問等はいつでもお受けしているので、Twitter(@titechokb)やmail(k0suke93OO@gmail.com 0をoに、Oを0に置き換えてください)にお寄せください。
第一回桁試験目的(覚書)
目的
・翼桁級(Φ110)をコクピシートで巻いた際の物性把握
・400mmで30°変化するP.L.の評価
・今後の桁試験のリファレンス
ということでply構成はあまり攻めない方向で調整しました